職場のコミュニケーション不足は、人間関係を悪くするだけでなく、企業にとっては生産性を下げたり問題を引き起こす要因ともなりうる、大きなテーマです。

コミュニケーションが不足すると、
・トラブルに気付くのが遅れて、対応が後手に回る
・現場からの声が上に届かず、顧客の視点で見ることができていない
・決められたことしか実行できず、改善ができない
・企業への忠誠心が薄れ、離職や技術の流出を招く

といった問題に発展する可能性があります。

また大事に至らずとも、他のチームやメンバーと情報交換ができていれば、「こんな非効率なことはしなくても済んだのに・・」と嘆くような経験は少なからずあると思います。

昨今ではコンプライアンスや情報保護を気にするあまり、社内ですら人と人との交流の機会をつくるのを嫌がる組織も目にします。
とはいえ企業は人が働く場ですから、規制や統制と並行して働きやすい職場環境を目指さなくてはなりません。働く人たちが壁を感じることのない、風通しの良い空間をつくるための第一歩として日々のコミュニケーションから見直してはいかがでしょうか。

ここでいうコミュニケーションとは、具体的には次のようなものを指しています。
・会議・ミーティング・打合せ
・面談
・情報伝達
・朝礼などの顔合わせ
・会社方針を伝える場
・週次報告・月次報告
・報告・連絡・相談 の場
・懇親会・歓送迎会

コミュニケーションを活性化するアプローチは以下の2つが考えられます。
1.主催者がその役割を意識する
2.主催者が推進しやすいように組織としてバックアップする

1.主催者が役割を意識する

担当者には、まず自分が会議などの「場」の主催者であることを自覚し、その役割を全うするという意識をもってもらいます。会議や打ち合わせで決められた時間をただ迎えるのではなく、準備して臨みます。
具体的には次のことを意識します。

・その場に居合わせる相手が誰かを予めイメージしておく
・予定されている時間がどれだけかを念頭に入れる
・おおまかなスケジュールを描く
・質疑応答や意見を求める場合は想定どおりにはいかないのでいくつかシナリオを考えてみる
・その場で伝えたい要点を決めておく
・実施した結果どうだったか、次回の課題は何かを明確にして忘れそうならメモしておく
2.主催者の推進を組織としてバックアップする

推進役を全うできるように、組織としてもバックアップします。アサインされた出席者が会議に参加しやすいように業務の調整をできるようにしたりして、参加を促す協力もひとつです。また主催者がかわっても、会議などが持続できるようにルールやプロセスもつくります。
その他にも次のようなことが考えられます。

・全ての従業員を対象とし、公平性を意識づける
・皆の参加意識を高められるようにルールやプロセスを明文化する
・打上げ花火のように数回で終わることなく継続する
・単一方向になりがちなので、双方向コミュニケーションになるよう意識を向ける

コミュニケーションの活性化活動は、成果としてみえにくく、なにが功を奏したかがわかりにくいかもしれません。結果主義に慣れてしまった組織には、一見長く無駄な取り組みと感じることもあるかもしれません。しかしながらこういった取り組みにより短期間で見違えるように何かが変わることはありませんので、やらないよりはやった方がマシ。一歩一歩地道に進めていくことが賢明といえるでしょう。